【メンバーブログvol.9:伊藤由加】あいつは大丈夫
あいつは大丈夫
社会人になりたての頃、私はよく怒られていました。
出来ない自分が悔しくて泣いたり、「なぜ私ばかり」と小さく被害者意識を発動させたり。今思えば、なかなか忙しい新人でした。
毎日爪先立ちしてせいいっぱい背伸びをして仕事をしていたから、少しの揺れでも簡単にぐらつきます。叱られるたびに「向いていないのでは」と真剣に悩み、奥歯を噛み、翌日には何事もなかったように出社する。その繰り返しでした。
数年後、東京の某旧公団社でグループ秘書をしていた時です。常勤役員は約10名。その中に、ひときわ怖いと有名な役員がいました。なぜか私は、その方によく叱られていました。内心では毎回それなりにダメージを受けています。嫌われてるんかな…?とか。
ある宴席で秘書室長がその役員に尋ねたそうです。
「彼女にだけ厳しくないですか?」
返ってきたのは、「あいつは大丈夫だ。」
後からその話を聞いたとき、驚くほど嬉しかったのを覚えています。あんなに怖かった人の口から出た言葉です。効き目が違います。
もちろん、その一言で急に成長したわけではありません。ただ、「大丈夫な前提」で見られていると思うと、不思議と踏ん張れました。
「大丈夫だ」と言われていた頃の私は、それをまったく実感できていませんでした。今も、完璧に自分を信用できるわけではありません。
それでも、揺れながら立っていられる時間は、あの頃より少し長くなったかな、と思うこの頃です。
伊藤 由加


