【メンバーブログvol.15:前川渉】不自然な身だしなみ
東京出張中、街を歩きながら強い違和感を覚えた。新橋や神田では、多くの人がスマートフォンを見ながら歩き、自分の世界に没頭している。実際にぶつかりそうになる場面もあり、無防備で危うい光景に映った。地方でも同じ行動はあるのだろうが、圧倒的な人の多さの中で同じ動きが繰り返される様子には、どこか奇妙さがある。
ビジネスマンの服装も印象的だった。ジーパンにジャケットというスタイルは、コロナ禍あたりから一気に広まり、いまでは特別なものではなく、普通の装いとして定着している。装いそのものが問題なのではない。ただ、整え方や清潔感の差によって、受ける印象は驚くほど変わるのだと感じた。
一方で、芝公園周辺のオフィス街では、まったく違う空気を感じた。前を向いて歩き、表情に余裕があり、落ち着いた雰囲気の人が多い。同じ東京でも、地域や働く環境によって人の印象はここまで変わるのかと驚かされた。収入の違いなのか、オフィス環境なのか、企業文化なのか理由は分からない。ただ、その場に流れる空気が、人の姿勢や表情に影響しているように感じた。
振り返れば、独立当初の自分もカジュアルな格好で仕事をしていた。スーツから解放された自由さと、ベンチャー的な軽快さに魅力を感じていたからだ。しかし組織が大きくなるにつれ、代表としてどう見られるかを意識するようになり、経営者の先輩から身だしなみについて指摘を受けたことが大きな転機となった。現在は自社のルールとしてジャケット着用を義務化し、文化としての基準を整えている。目指しているのは堅苦しさではなく、きちんとしていながら、ゆとりと遊び心のある組織である。そのためにも、「ただ緩い」状態にはしないと決めた。
事業の成長とともに、会う人の層も変わってきた。第一線で活躍している人ほど身だしなみが整っている。その姿に触れる中で、外見は単なる形式ではなく、組織の姿勢や価値観を映し出すものだと気づかされた。
不自然に見える身だしなみとは、服装の問題ではない。
その人の姿勢と内面のズレが、静かに表れているのかもしれない
前川 渉


