【メンバーブログvol.86:齋藤剛弘】スーパーファイトから学べること
私、大学生時代に少々格闘技をかじっており、GWの5月2日には非常に楽しみな一戦がありました!
ボクシング、世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ、井上尚弥選手 対 中谷潤人選手の「THE DAY やがて、伝説と呼ばれる日。」
ボクシングをご覧にならない方にも、お二人の名前くらいはニュースで耳にされたかもしれません。
日本人同士、ともに無敗、ともに世界最高峰——ボクシング史に残ると言われた一戦が、ついに実現した夜でした。
今回はその試合ではなく、その後に観た中谷潤人選手のドキュメンタリーから感じたことを、少しだけお裾分けさせてください。
試合の結果は、ジャッジ3人のうち2人が116-112、1人が115-113で、いずれも井上選手を支持し判定勝ち。33戦全勝での王座防衛となりました。
試合の興奮が冷めやらぬまま、私は中谷潤人選手のドキュメンタリーシリーズ(The Day vol.09)を観ました。
そこには、リングでは決して見えないもう一つの戦いが映っていました。
毎朝のロードワーク。地味な反復練習。減量との向き合い方。怪我との折り合い。家族への思い。
そして、なにより——「日々、自分の感覚を言葉にして整理していく姿」。
リング上のあの静かな駆け引きも、12ラウンドを戦い抜くスタミナも、そして敗れたあとに「井上選手は学ぶ力がすごい」と
冷静に分析できる客観性も、すべて、リングの外での膨大な蓄積から生まれているのだと感じました。
派手な一夜は、地味な毎日でしか作れない。
これが、私がドキュメンタリーから受け取った、一番のメッセージでした。
ここまで書いて、私は経営者の皆さまのことを思い浮かべていました。
会社の決算書という「リング上のスコア」だけを見ていると、見えないものがあります。
・創業から積み重ねてこられた、目に見えない技術
・取引先との間に育てられた、長年の信頼
・社内に蓄積されてきた、暗黙のノウハウ
・そしてご自身が日々下してきた、小さな決断の山
これらはすべて、「リングの外」の蓄積です。
そして、いざ事業承継やM&Aの場面が訪れたとき、買い手やお相手に伝わるのは、それらをどれだけ「言葉」にできているかで決まります。
中谷選手があの夜、敗れた直後に自分の戦略を冷静に言語化できたのは、日々の蓄積を言葉として整理してきたからに他なりません。
経営者の皆さまの会社にも、間違いなくまだ言葉になっていない財産があります。
それを、いざというときに掘り起こすのではなく、普段から少しずつ言葉にしておくこと——その大切さを、私はあの夜、改めて教えられた気がしました。
試合の余韻を抱えながら、日課であるいつもの日記帳を開きました。
そしてその日のページに、こう書きました。
「派手な勝利は、地味な日々でしか作れない」
経営者の皆さまにお会いするとき、私が一番大切にしたいと思っていることが、まさにこれです。
近道はない。一発逆転もない。
あるのは、毎日の言語化と、それを支える誠実な日常だけ——。
朝、娘と漢字とピアノに向かう時間。
夜、自分とペンとノートに向かう時間。
そしてGWの東京ドームで、最高峰の選手たちから受け取った刺激。
これらはすべて、企業の「眠れる価値」を、いつか最善の形で言葉にしてさしあげるための、私自身の準備運動です。
齋藤 剛弘

